
- STEP 03準備・手続き
- [検討時期の目安:開業7ヵ月〜3ヵ月前]
歯科医院を開業するための手続き
歯科医院を開業するためには、多くの手続きを行う必要があります。それぞれの内容やタイミングを把握し、計画的に進めましょう。
目次
着工前
管轄する保健所へ事前相談
保健所では、医院開設に関する法律や規制、施設基準、必要な届出や許可の取得についてアドバイスを受けることができます。事前に相談しておくことで、開業準備をスムーズに進められます。計画通りに開院するためにも、開業予定地を管轄する保健所に必ず相談しましょう。相談の際に医院の平面図などの資料を持参すると、より具体的なアドバイスを受けやすくなります。
施設完成後
※下記は個人開業の手続き例です。詳細は管轄する保健所にご確認ください。
開設準備に必要な手続き
歯科医院の開設後10日以内に、以下の届けを管轄する保健所へ提出しなければなりません。届出用紙や添付書類などは都道府県によって異なります。必要書類をしっかり確認しておきましょう。下記は、東京都にある保健所に記載されている内容です。
歯科診療所開設届
厚生局に開設時の書類の写しを提出する必要があります。各書類を最低2部は用意しましょう。
- 主な添付書類
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- 管理者の臨床研修等修了登録証の写し及び免許証の写し(原本確認あり)
- 管理者の職歴書
- 診療に従事する歯科医師の臨床研修等修了登録証の写し及び免許証の写し(原本確認あり)
- 土地及び建物の登記事項証明書
- 土地又は建物の賃貸借契約書の写し(賃借する場合のみ)
- 敷地の平面図
- 敷地周辺の見取図
- 建物の平面図
- エックス線診療室放射線防護図
- 案内図
- 診療に従事する医療従事者の免許証の写し
診療用エックス線装置備付届
診療用エックス線装置を備え付けた際、備付後10日以内に保健所へ届出が必要です。
- 主な添付書類
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- エックス線診療室の平面図及び側面図
- 漏洩線量測定結果報告書
- 同時曝射防止(インターロック)の証明書
立入検査
立入検査は、保健所が法令で定められた人員や構造設備の基準を満たしているか、また適切な管理が行われているかを確認し、医院が良質で適正な医療を提供できる環境になっているかを検査するものです。この検査は「歯科診療所開設届」の提出後に実施され、医院の管理者の立ち会いが必要です。不備がある場合には指導を受け、改善する必要があります。
立入検査での主なチェック項目
- 施設の構造や設備
- 消毒・滅菌設備などの衛生管理・感染対策
- 医療廃棄物の管理
- 安全管理(緊急時対応設備や避難経路)
- 医療機器の管理
- 衛生管理計画の実施状況 など
保険医療機関の指定等に関する申請・届出
保険診療を開始するため、地方厚生局に申請を行います。以下の書類を用意し、手続きを行いましょう。
保険医療機関指定申請書
歯科医院が保険診療を行うためには、保険医療機関の指定を受けなければなりません。締切日は各月中旬頃に定められており、指定日は翌月の1日です。提出期限を過ぎると、保険診療の開始時期が1カ月遅れてしまうため、希望する開始月の前月の締切日を確認し、必ず提出しましょう。
- 主な添付書類
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- 保険医登録票の写し(原本確認あり)
- 診療所開設届(副本)または受理証明書
施設基準等に係る届出書
診療行為の中には、保険医療機関が一定の人員や設備の要件を満たす必要があるものがあります。これらの要件は「施設基準」と呼ばれ、管轄する厚生局への届出が必要です。施設基準には、基本診療科や特掲診療科などがあり、診療形態によって適用される基準が異なります。届出書は必要な添付書類とともに提出し、写しを保管しておきましょう。なお、添付書類の内容は届出項目ごとに異なるため注意が必要です。
基本診療科の施設基準等に係る届出書
[届出項目の例] 歯科外来診療医療安全体制加算、歯科外来診療感染対策加算 など
特掲診療科の施設基準に係る届出書
[届出項目の例] クラウン・ブリッジ維持管理料 など
歯科医師入会申込書
入会手続きは、都市区の歯科医師会を通じて「日本歯科医師会入会申込書」を提出します。この際、会員のために福利厚生として設けられている各種保険制度の加入手続きも行いましょう。同時に、県や市区町村の歯科医師会にも入会申込書を提出しましょう。
開業後
雇用や財務に関する手続き
開業後は、雇用や財務に関する手続きが必要です。それぞれ提出時期や提出先が異なるため、漏れのないよう気をつけましょう。
税務署
- 個人事業の開廃業等の届出書(開業後1カ月以内)
- 給与支払事務所等の開設届出書(開業後1カ月以内)
- 所得税の青色申告承認申請書(承認を受ける年の3月15日まで)
- 青色専従者給与に関する届出書(承認を受ける年の3月15日まで)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 所得税の棚卸資産評価方法 / 減価償却資産評価方法の届出書(開業した年分の確定申告期限まで)
労働基準監督署
- 適用事業報告書(開業後1カ月以内)
- 労働保険保険関係成立届(保険関係が成立した日の翌日から10日以内)
日本年金機構
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届(従業員の雇用から5日以内)
※5名以上雇用する場合
労働基準監督署 労災係、公共職業安定所 事業所適用係
- 雇用保険適用事務所設置届(従業員の雇用の翌日から10日以内)
添付書類:雇用保険被保険者資格取得届、適用事業所台帳
その他開業までに必要な手続き
歯科医院の運営では、技工所や医療廃棄物回収業者、歯科医療機器・材料メーカーや歯科代理店など、さまざまな業者とのやり取りが日常的に発生します。開業後の業務を円滑に進めるためにも、公的な手続きに加え、各業者との契約や手続きも事前にすませておきましょう。
このように、歯科医院を開業するためには多くの手続きが必要です。全体の流れを把握し、一つひとつ着実に行いましょう。開業後も、医院運営にあたりさまざまな手続きなど行うべき事項があります。必要に応じて、税理士や社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。