
- STEP 03準備・手続き
- [検討時期の目安:開業7ヵ月〜3ヵ月前]
歯医者・歯科医院を開業する際におさえておくべき集患(集客)施策
少子高齢化や人口減少の影響で、歯科医院における集患(集客)は、ますます重要なテーマとなっています。自身の歯科医院ならではの強みを活かし、効果的な集患(集客)施策を実施しましょう。
目次
歯科医院開業時の集患(集客)に向けて大切なこと
新規患者の獲得は、歯科医院を開業した後、経営を軌道に乗せるために特に重要な取り組みです。
新規患者の獲得にまず必要となるのは、「地域住民にどのような医院か認知してもらうこと」です。闇雲に広告を展開するのではなく、自院の強みの洗い出し、他院との差別化、それらを生かした歯科医療サービス提供を図りながら、相性の良い集患(集客)施策を実施することが、費用対効果の高い新規患者の獲得につながります。
また、新規患者に治療終了後も定期的に来院してもらうために院長・スタッフの応対や人柄も非常に重要です。集患(集客)できた患者さんが離れてしまわないよう、良好なコミュニケーションが取れる体制づくりも心がけましょう。
各集患(集客)施策を実施するタイミングは
効果的な認知度向上と安定した患者数の確保を目指し、時期ごとに適切な施策を組み合わせて実施しましょう。
開業前
地域住民に「自院が開業することを知ってもらう」「自院に親しみを感じてもらう」ことが主な目的です。認知度を高め、開業後の患者さんのスムーズな来院につなげましょう。
- 内覧会
- チラシ配布、ポスティング
- ホームページ
- SNS(Instagram、Tik Tokライブなど)
開業後
さらなる認知拡大と定期来院患者の確保のため、地域住民や患者さんとのタッチポイントを増やすことに重点をおきましょう。開業前に開設したホームページのアップデートやSNSの更新も継続的に行いましょう。実施するイベントやセミナーの告知も重要です。
- イベント開催
- セミナー・ワークショップ
- 無料相談
- SEO、MEO、エリア広告
歯科医院の集患(集客)の広告・宣伝方法一覧
上記の考えのもと、主要な方法の一部を紹介します。ご自身の歯科医院や立地にあった方法を選びましょう。
オンライン施策
ホームページ(Webサイト)
ホームページは集患(集客)において非常に重要な役割を果たします。住所や診療内容、予約方法などの基本情報をはじめ、得意な診療や強みをわかりやすく紹介しましょう。また、医院やスタッフの雰囲気が伝わるよう、ターゲットとする患者さんが好むテイストにするのが良いでしょう。スマホで見やすいサイトづくりも大切です。ホームページ公開後も最新情報の定期的な更新を行っていきましょう。
MEO(マップ検索エンジン最適化)
マップ検索エンジンは、主にGoogleマップで上位表示を狙う施策です。Googleが提供するサービス・Googleビジネスプロフィールを利用します。登録するとGoogleマップ上に医院情報やクチコミが表示されるため、視認性が高まり、集患(集客)効果が期待できます。またGoogleで「住んでいる地域 歯医者」などと検索した場合にも上位表示されやすくなります。クチコミは集患(集客)に影響を与えるため、内容を定期的に確認しましょう。悪いクチコミには誠実に対応し、見ている人に医院の姿勢を伝えることが大切です。無料で登録できるのでぜひ利用しましょう。
ポータルサイト
ポータルサイトではさまざまな医院の情報やクチコミを閲覧できます。多くの人が歯医者探しに利用しているため、新規患者を増やすのに有効です。登録する際は他医院との差別化を図るため、自院の強みをアピールしましょう。クチコミは患者さんの医院選びにおいて重要な判断材料です。情報を定期的に更新し、患者さんに選ばれるように工夫しましょう。登録料金はプランごとに設定されていることが多いです。
SNS(Instagram、X、Facebook、Tik Tok、LINEなど)
院長・スタッフや院内の紹介、歯に関連する情報などを投稿することで、見る人に親近感を与えることができます。すぐに集患(集客)効果が表れるものではないので、長期的な医院ブランディングと認知拡大を目的とし、継続的に発信していきましょう。SNSは無料で利用でき手軽に情報のシェアや直接のやり取りができる一方、炎上するリスクもあります。投稿内容には十分注意しましょう。
SEO(検索エンジン最適化)
GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、特定のキーワードを検索した際に上位表示するための施策です。検索結果で上位表示ができると広告費をかけずとも安定した集患(集客)につながります。SEOは即効性のある施策ではありませんが、少しずつでも進めておくと医院の集客(集患)に貢献します。
専門的な知識を要するのでホームページ制作会社などに依頼するのが一般的です。
例えばご自身のホームページで下記のようなことを行います
- ユーザーにとって価値があり、わかりやすいコンテンツをつくる
- 検索意図に合った内容やキーワードの配置、読みやすい文章構成にする
- 検索エンジンの評価を高める(HTMLタグの最適化、ホームページの読み込み速度の向上)
- スマートフォンなどでも閲覧できるレスポンシブデザインにする
- 他のホームページやSNSからのリンク、シェアを受ける など
リスティング広告
GoogleやYahoo!で特定のキーワードを検索した時に上部に表示される広告です。「歯科医院名+地域名」などのキーワードでターゲット層にピンポイントでアプローチすることができますが、クリックされるごとに費用が発生します。キーワードは自由に設定できますが、競争が激しい地域や人気のキーワードは費用が高騰していることもあるので注意が必要です。運用には専門知識が求められるため、医療広告ガイドラインなどに詳しい広告代理店や運用会社に委託しましょう。
オフライン施策
チラシ、ポスティング
駅前や商業施設でのチラシ配布や診療エリアでのポスティングは、地域住民の認知度を高め、新規患者を増やすのに効果的な手段です。特にインターネットをあまり使わないシニア世代へのアプローチに有効です。ポスティングは手に取ってもらいやすいですが、住民や住宅の管理人から苦情が出るリスクもあります。
看板、ポスターなど街頭広告
街頭広告は、通行人の視野に繰り返し入ることで、無意識のうちに記憶される効果があります。特に地域密着型の歯科医院にとって、看板は重要な集患(集客)のツールです。患者さんの目に留まるよう色やデザインを工夫しましょう。街頭広告の費用は内容や取り付け場所、サイズによって大きく異なるのでしっかり検討をしましょう。また、一度製作すると長く使用することができますがメンテナンスが必要です。
内覧会
内覧会を通して医院の存在や強み、特長を地域住民にアピールすることができます。また、院内環境や設備、先生やスタッフの雰囲気を知ってもらうことで、参加者に安心感や信頼感が生まれ、新規患者の獲得につながります。開催については、地域住民が来やすい土日祝日の日中に実施するのが良いでしょう。
イベント開催
夏祭りやハロウィンイベントなど楽しい体験を提供することで、子どもが歯科医院に慣れ、歯医者に対する恐怖心や不安をやわらげることができます。親の医院に対する信頼感が高まり、安心して子どもの治療や検診を任せやすくなります。また、地域の親子が参加することで地域密着型の歯科医院として認知されやすくなるメリットもあります。
セミナー・ワークショップ
地域の方々に健康についての情報を提供するセミナーやワークショップは、患者さんが治療以外に医院を訪れるきっかけになります。医院の専門性や患者さんの健康に対する思いが伝わることで、「身近で頼れる存在」と認識され、患者さんとの信頼関係の構築につながります。参加者によるクチコミや紹介による新規患者の獲得にも期待できます。
例
- 助産師とコラボ マタニティ対象セミナー
- 子どもの口腔機能発達についてのセミナー
- 管理栄養士とコラボ 食育ワークショップ など
自費診療に関する無料相談
歯科治療に対する不安や疑問を解消すると同時に、個々のニーズや希望を把握し、最適な治療方法を提案する機会になります。例えば、矯正やインプラントなど自費診療に対する具体的なプランを示すことで、患者さんの治療に対するイメージを明確にし、治療を受ける決断をサポートすることができます。
歯科医院の広告における規制(医療広告規制)について
医療機関が行う広告について、患者さんやそのご家族、地域住民の方々が医療サービスを適切に選択できるように、不適切な誘導や誤解を防ぐことを目的とした「医療広告ガイドライン」が設けられています。このガイドラインは、チラシやパンフレット、ポスター、看板、ホームページ、SNSなどあらゆる媒体に適用されます。違反があった場合には、行政からの指導や罰則の対象になります。医院の信頼性を損なわないためにも、先生ご自身が医療広告ガイドラインを十分理解し、広告を業者へ発注する際にはガイドラインを遵守するよう必ず伝えましょう。
開業後は、来院者アンケートを実施するのがおすすめです。良い評判はクチコミにつながります。患者さんに満足いただける点をできるだけ把握し、選ばれる歯科医院を目指しましょう。