
- STEP 02事業計画
- [検討時期の目安:開業12ヵ月〜6ヵ月前]
歯科医院開業のための事業計画書とは? 必要性や作り方を解説
開業に向けて理想の歯科医院のイメージが固まったら、事業計画書を作成しましょう。物件計画、設備計画、資金計画、医院運営指針を反映した営業計画の妥当性を客観的に検討します。
目次
事業計画を立てる必要性とは
事業計画では、理想の歯科医院を実現するにあたって、事業として成立させるための情報をまとめていきます。そうすることで目標や方向性が明確になると同時に、リスクや課題の把握と対策にも役立ちます。また、金融機関からの融資を受ける際には事業計画書を提出し、事業の将来性や収益性を示して信頼を得る必要があります。とはいえ、開業前の計画なので、数字にとらわれすぎず、各段階でポイントを確認しながら仕上げていきましょう。
事業計画を立てる上でステップごとにおさえるべきポイント
開業準備前
理想とする歯科医院を開業するためのイニシャルコスト(医療機器 / 物件取得費 / 内装費 / 求人広告費 / 内覧会費など)を算出します。思い描く経営理念や診療方針に必要な費用がどの程度か把握しておきましょう。
開業準備中
1日最低何人の患者さんを診療すれば借入金を返済できるのかを試算し、事業を成立させるために必要な投資の優先順位を決めましょう。
開業後
開業前に見込んだ患者数が事業計画通りに進んでいるか確かめましょう。場合によっては、対策を講じることが必要になるかもしれません。
事業計画書での主な記載項目
開業予定月
開業時期を決められる場合は、梅雨や猛暑の時期、多忙な年末など、患者さんが来院しづらいシーズンを避けたり、学校の歯科健診後など、患者さんが増えるタイミングに合わせるのもひとつです。現在の勤務先の退職時期の目処を立て、検討しましょう。
1カ月の診療日、診療時間
患者さんの受診目的や医院の立地、周辺の歯科医院の診療日や診療時間、休診日やスタッフ採用の視点も考慮して検討しましょう。
医業収入
1日に診療する患者数と診療日数、単価から算出します。患者さん1人当たりの保険収入は、都道府県別の平均単価を参考に、少し低めに見積もりましょう。自費収入については、まず周辺の歯科医院の価格を参考に単価設定をしましょう。自費収入を多く設定する場合は特に戦略を立てることが大切です。
人件費
歯科衛生士、受付・助手、歯科技工士など、必要なスタッフの職種や人数、雇用形態(常勤・パート)を検討し算出しましょう。給料については地域相場や求人広告を参考にし、やや高めに設定するのが望ましいです。専従者給与(家族従業員に支払う労働の対価)については、資格や就業時間などに対して妥当である必要があります。
開業資金(初期費用)
開業資金には主に設備・物件取得に関わる資金と運転資金に分けられます。
設備・物件取得にあたっては医院設計・工事費、保証金・敷金(テナントの場合)、機器や材料費などが含まれます。また、開業前に発生する一時的な費用も見越しておく必要があります。
運転資金は、収入が損益分岐点に達するまでの赤字を補填する資金になります。開業後2カ月は保険収入が入ってこないため、月々の経費(固定費、変動費)がいくらかかるかを想定し、準備をしましょう。
継続的に発生する費用の月額
材料・技工料や人件費、賃借料などが含まれます。材料・技工料・その他経費の目安は収入の30%程度を見積もっておきましょう。
事業計画書の作り方・考え方
事業計画書を作成するにあたり、タカラベルモントではテンプレートをご用意しております。以下では、テンプレートの記入例をもとに説明いたします。
記入例を参考にしながら、ご自身でも事業計画書を作成してみましょう。
営業計画書
医院の運営を軌道に乗せ、安定的な収益を上げるための具体的な方針を示します。歯科医院の収入と費用を算出し、収益の計画を立てていきます。
記入例

ポイント! 開業前に発生する一時的な費用を見込んでおく
看板や備品以外にも、開業前にはホームページ製作やスタッフ採用などさまざまな費用が発生します。項目と費用を洗い出し、資金計画に反映させましょう。
- 項目例
-
- 広告宣伝費
- 求人費用
- 開業コンサル
- 内覧会費用
- 什器関連
- 歯科医師会の入会 など

設備計画書
ご自身の理想とする歯科医院において必要な医療機器や院内システムの洗い出しを行い、必要となる設備費用を見える化します。設備関連は費用としても大きな割合を占めるものですので、しっかりと精査をしましょう。
記入例

ポイント! 導入設備の優先順位を明確にする
開業時から必須の設備に加えて、将来的に必要になる設備も含めて検討するのが望ましいです。開業時からどのような機器を導入するかを考えておくことで、余計な工事や機器入れ替えが不要となり、最終的なコスト削減にもつながります。
物件計画書
物件に関わる取得費・工事費・賃料など、費用を見積もります。土地購入開業かテナント開業かによって予算計画も大きく変わります。
記入例

資金計画表
開業資金を見積もることができたら、あわせて調達資金について検討します。借入先には主に銀行や日本政策金融公庫などの金融機関があります。それぞれの条件を比較して最適な借入先と借入方法を検討しましょう。自己資金は借入金額の10%以上を目標とすると良いでしょう。他の借入方法として親族借入もあります。詳細については税理士と相談することをおすすめします。
記入例

ポイント! 運転資金の確保
社会保険、国民保険の振り込みは2カ月後です。そのため開業後2カ月間の現金収入は窓口での一部負担金と自費のみになります。一方、支払いについては材料・技工料などの変動費、従業員の給料、家賃、雑費など固定費、また借入金返済が毎月発生します。開業前月は一時的な費用も多くなるので、資金がショートしないよう運転資金を確保しましょう。
事業計画表
開業後、借入金をどれくらいの期間と金額で返済するのか、キャッシュフローを計画します。確実な融資の実行と持続的な事業運営のため、年単位の見通しを立てましょう。
記入例

事業計画書の作成は歯科医院開業に向けた重要なステップです。歯科医院の開業と成長を実現させるため、しっかり計画を立てましょう。